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みんなで踏み出そう!明日への一歩を 7


「映画祭には、退院できるよ!」
祐一は、病室に顔を出した佐緒里に満面の笑みを浮かべ報告した。
「ふぅん、良かったねー。」佐緒里は何処か涼しげにこたえる。
「えっ、何?」祐一は、そんな佐緒里の態度に首をかしげながら、何かしでかしたか考えている。意外に小心者だったりする・・・。
「今日は何の日かな?」
佐緒里の言葉に、祐一の頭の中はフルスピードで回転中である。
「ゴメン、すまなかった。」謝る祐一。
「はぁ?何かさぁ。取り敢えず謝っておこうって態度が見え見えだよね。」
今日の佐緒里は、どうやら機嫌が悪い。
「謝る相手は、私じゃないでしょ! 母の日!」
「何だ、そんな事か。」祐一は急に得意げに話はじめる。
「昨日、ポストカード送ったよ。 元気たちみたいに、ここから見える富士山を写真に撮ってポストカードにした。あ、富士山の上にロケットが飛んでいく絵を描いたけど。ほら、映画祭のチラシっぽく。」と言って枕元に置いてある第6回City Lights映画祭のチラシを
手に取った。
今年のチラシは、二人の侍が、真っ直ぐな飛行機雲を描いて飛ぶロケットを見上げている絵が描かれていて、背景には富士山もある。

「そうなのね。私もメッセージ書きたかったな。」
「なぁ、それはそうと今日って、字幕朗読の収録日じゃないか。行かなくていいのか?」
「今年は、あなたが入院しているし、七海さんに代わってもらったの。」
「そうか、様子を聞きたかったな。」
「多分、明日とか誰かお見舞いにくるんじゃない?」

 字幕朗読とは、洋画など吹き替え版の無いフィルムやDVDの場合に、声優ボランティアの皆さんで、セリフを読み録音した音声を音声ガイドと共にラジオで流すのである。
声優ボランティアに参加してくださる皆さんは、俳優養成学校の学生さんや一般の方、もちろん視覚障がい者も多く参加している。
 
「じゃあ、明日まで待つか~。」チェッと言う顔をして、祐一はうらめしそうにチラシを眺めた。

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